わたしは、もうたいへん長いあいだ、
スペイン語とポルトガル語の国々の音楽にかかわる仕事をしてきました。
でも、ここでそんな話をしようとしているわけではありません。
かいつまんでいうと、数年前に 峰 万里恵 さんがうたうのを聴いて、
歌詞のことばを、詩のひびきと心を、
これほど伝えてくれる人がいることに驚きました。
「日本人にしては」なんてことは、わたしは言いません。本物は本物です。
いくつか偶然が重なって、わたしは峰さんのギター伴奏をするようになり、
それはいっしょに歌を研究することと同じです。
そこでわたしは、いままで学んできたより
もっと大きなことに気がつきはじめました。
それが何かは自分でもわかりません。
たぶん言霊(ことだま)の神秘みたいなことでしょう。
わからないけれど感じるのです。
峰さんのレパートリー選びは、すべて彼女の直感でやっています。
聴いて、詩が美しいと感じた曲を、歌いたくなるようです。
はじめは、歌詞の内容とか、ことばの意味とか、深く考えていません。
でも、峰さんの耳に美しくひびいた詩は、内容もとてもいいのです。
これから書くことは、わたしの勝手な雑談で、
峰 万里恵 さんのうたとは、まったく無関係です。
彼女は純粋に詩をうたっているだけで、詩が直接語っている以外の
曲の背景とかその周辺のことは、ほとんど、考えていません。
考えないで、感じているわけです。理屈はいらないんです。
この付録のページでは、峰 万里恵 さんのうたと
関係のある(ような、ないような)
スペイン語とポルトガル語の歌について、
あるいは、ことばそのものにまつわる
いろんな話題を、気楽に書いていこうと思います。
これを読んで「うたを もっと 感じる」ようになった
と言っていただければうれしいですが、
そんなタイトルを付けたわりには、あんまり自信はありません。
とにかく、うたの魅力のどこかにつながっている
小さな ことばたち がいることを感じてください。
では、思いつくままに書いていきますので、どうぞよろしく。